最高裁判所第二小法廷 昭和28年(あ)3203号 決定 1955年12月02日
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人内藤丈夫の上告趣意第一点乃至第三点及び被告人の上告趣意について。
公職選挙法四九条三号、同法施行令五二条一項三号に基いて作成される選挙人に対する医師の証明書は、その内容が医師の診察の結果に関する判断を表示して人の健康上の状態を証明する部分を包含する限り医師法二〇条にいわゆる「診断書」と解すべきであるから、必ず医師自らその選挙人を診察した上これを作成交付するを要するものと判示した原判決は正当である。従って原判決が「老衰のため選挙の当日自ら投票所に行って投票することができない見込である」旨の証明に関しても、必ず医師自らの診察を要するものとしたのは正当であって、何ら所論判例に反するところはないのである。その余の論旨は或は事実誤認又は単なる法令違反の主張であって上告適法の理由とならない。また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎 裁判官 池田 克)